イギリスのクリスマスの歴史と伝統

あっという間に今年も12月になりました。ロンドンの街中はますますクリスマス色が濃くなり、寒さにもかかわらず活気づいているように見えます。

イギリス人にとってクリスマス・シーズンはとてもわくわくする季節のようです。大きなクリスマスツリー、その周りに置かれた沢山のプレゼント、テーブルの上のお菓子、果物、装飾品、クリスマスカードなど、子供から大人まで楽しみにしています。

トラファルガー・スクエアのもみの木

トラファルガー広場のもみの木

しかしながら、今日のようなクリスマス・シーズンの光景はイギリスの古い歴史的なものではなく、19世紀はじめ、ヴィクトリア女王の時代まで見られなかったようです。

ヴィクトリア女王はドイツ生まれのアルバート王子と結婚し、彼が幼少時代に過ごしたドイツの伝統的なクリスマスの要素を、英国王室に取り入れ、そこから一般庶民に広がっていったようです。

たとえばクリスマス・カードは19世紀にはイギリスではとても高価で、一般人には手の出ないものでしたが、ヴィクトリア時代に印刷技術の発展と郵便制度の導入で大人気となりました。

ヴィクトリア時代のクリスマス・カード

V&Aで展示中のヴィクトリア時代のクリスマス・カード

また、家の内外で見られるクリスマスの飾り付けもヴィクトリア時代の産業発展とともにますます拡大していったそうです。唯一、中世からあったのはChristmas Feast(饗宴)ですが、やはり今日のイギリスの家庭の典型的なクリスマス様式となったのはヴィクトリア時代からです。

イギリスのクリスマスのお菓子のひとつにミンス・パイ(Mince Pie)というのがありますが、中世時代には小麦のパイに肉が入っているものだったのが、ヴィクトリア時代に肉のないものが上流階級で流行し、それが現在、一般家庭のどこでも見られるミンスパイの形にたどり着いたといわれています。(ミンス・パイのレシピなど http://www.news-digest.co.uk/news/gourmet/british-food-and-sweets/14496-mince-pie.html

ミンスパイ

ドライフルーツがたっぷり入ったミンスパイ。この時期は、カフェなどでも食べることができます。

クリスマス・ツリーを家の中に飾るという風習もアルバート王子がクリスマスイブにウインザー城にクリスマスツリーを導入、自分たちで飾りつけ、キャンドルを照らし、ジンジャー・ブレッドをかざりました。その後、王室に習えとばかりに、徐々に国内に広まったそうです。

クリスマスにはクリスマスキャロルを歌いますが、この時代、典型的なヴィクトリア朝の家にはピアノがあったそうで、クリスマスの日には誰もがこの周りに集まってキャロルを歌いました。日本人でも良く知っている「きよしこの夜(Silent Night)」はよく歌われていたようです。

クリスマスキャロルはもともとイギリスの古い習慣で、家から家を回り、歌をうたって食物を分けてもらう習慣からきたものでしたが、この伝統が発展し、新しい歌や形式を生み出しました。今でもクリスマス前になると、チャリティー団体(あるいは個人)が買い物客からの募金を募っている姿を良く見ます。

クリスマスの時期に来られる皆様、神聖な教会でのクリスマスキャロル、コンサートホールで一緒に歌えるクリスマスキャロル、とありますので機会があればどうぞ訪れてみてください。

 

 

● 参考サイト
http://news.bbc.co.uk/local/berkshire/hi/people_and_places/history/newsid_9286000/9286971.stm

ヴィクトリアンのクリスマス・キャロル
http://www.victorian-era.org/victoian-christmas-carol.html

● クリスマス・キャロルが行われる場所

Trafalgar Square
https://www.london.gov.uk/about-us/our-building-and-squares/trafalgar-square/trafalgar-square-christmas-carol-singing

Royal Albert Hall
http://www.royalalberthall.com/tickets/events/2016/christmas-carol-singalong/

St Paul’s Cathedral
https://www.stpauls.co.uk/worship-music/worship/christmas/services-events

Westminster Abbey
http://www.westminster-abbey.org/events/christmas


ゲンダイ・ゲストハウス 管理人プロフィール

職業:ゲストハウス住み込み管理人
出身:東京
在英歴:1994年から

イギリスには当初学生として渡英し、その後、ホテルやケータリングなどのサービス業で仕事をして今に至ります。気がつくと、もう在英20年以上となりました。
イギリスへの思い入れは中学生の頃に読んだ「嵐ヶ丘」「大いなる遺産」がきっかけでしたが、未だにイギリスには期待を裏切られておりません。

1820年に建てられた歴史ある建物で運営されているこのゲストハウスに住み込み、マルチ・カルチャーなロンドンで暮らし、日本からお越しになるお客様のお世話をさせていただく毎日の生活は、飽きることがありません。「管理人」という職を通して色々なお客様にお会いできるのは、まさにのこの仕事の醍醐味です。

イギリスへお越しになる前に、観光の事など何かご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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