改修工事中の国会議事堂とビッグベン
ロンドンといえばビックベン、国会議事堂の風景を思い浮かべる方も多いと思いますが、その象徴的な建物で一部改修工事がはじまっています。

「スカフォールディング」と呼ばれる足場が設置されています
ロンドンへお越しになって、この世界遺産にも登録されている観光名所が工事中だとがっかりですね。残念ながら、この修復工事は当面続きます。
英国の国会議事堂、ウェストミンスター宮殿(Palace of Westminster)は、中世に王の宮殿として建てられ、何度かの火災の後、1840年から1870年にゴシック・リヴァイヴァル様式のデザインを取り入れ再建されました。国会議事堂内のウェストミンスター・ホールは、中世時代の宮殿の一部が残っているものです。

中世の天井が残っているウェストミンスター・ホール

細かい装飾が見事なゴシック・リヴァイバル様式
この古い建物は、長らく大きな改修もせずここまで来たので、今、老朽化が問題となっています。
度重なる水漏れで屋根や床が落ちてくる危険性、地下室の配線はもう何が何だか訳が分からないほど複雑、水の配管と電線が近くに設置されている危険性などなど、もう待ったなしの状態です。この象徴的な建物をこれからも未来永劫使っていくためには、思い切って今、大規模な修復工事をしないといけないということになったわけです。
しかし内部には議員のオフィスが入っているので、議会が開催されているときには大きな工事もままなりません。そこで国会議事堂の改修に伴い、議員を引越しさせる案が出されました。もちろんその間は国会も違う場所で行われるのです。
また、イギリスの国会で行われる王室関連の数々の行事をどうするのかも問題になりました。エリザベス女王が伝統的な衣装に身にまとい馬車でお越しになり国会の開催を告げる儀式や、その他の行事、衣装や道具を保管する場所、そもそもほかの場所で行うのはおかしいなどと、反対意見もかなり出たようです。
最終的には全員が一斉に退去して、工事を進めた方が早いということで、引越し案が可決しました。
上院(The House of Lords)の方はパーラメント・スクエアのクイーン・エリザベス2世カンファレンス・センターというところへ移動、下院(The House of Commons)の方は同じ官庁街のリッチモンド・ハウスという今は使用されていない建物へ移ることに決まりました。
先日建築家によるリッチモンド・ハウスの草案が発表になりましたが、現在の国会議事堂の内部に似せて作るようです。実際の引越しは早くとも2025年まで、そして国会議事堂の工事自体はなんと2030年まではかかるらしいということです。現在すでに足場(Scaffolding)で覆われているビッグベンの改修工事は2021年までかかる予定だそうです。

針のないビッグベン
ロンドンへお越しの皆さま、当分は絵葉書と同じような国会議事堂はご覧になれないので覚悟くださいね。
内部に入ることができるガイド・ツアーとオーディオ・ツアーは2019年10月まで開催されていますので、ご興味のある方はぜひ!アフタヌーン・ティーも別料金でプラスできるものもありますよ。
BBC News: Parliament refit: First images released of temporary Commons chamber
https://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-48199355
ビッグベン今昔物語
http://www.news-digest.co.uk/news/features/2321-big-ben.html
国会議事堂ツアー Tours of Parliament
https://www.parliament.uk/visiting/visiting-and-tours/tours-of-parliament/
ゲンダイ・ゲストハウス 管理人プロフィール
職業:ゲストハウス住み込み管理人
出身:東京
在英歴:1994年から
イギリスには当初学生として渡英し、その後、ホテルやケータリングなどのサービス業で仕事をして今に至ります。気がつくと、もう在英20年以上となりました。
イギリスへの思い入れは中学生の頃に読んだ「嵐ヶ丘」「大いなる遺産」がきっかけでしたが、未だにイギリスには期待を裏切られておりません。
1820年に建てられた歴史ある建物で運営されているこのゲストハウスに住み込み、マルチ・カルチャーなロンドンで暮らし、日本からお越しになるお客様のお世話をさせていただく毎日の生活は、飽きることがありません。「管理人」という職を通して色々なお客様にお会いできるのは、まさにのこの仕事の醍醐味です。
イギリスへお越しになる前に、観光の事など何かご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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